GUNSLINGER GIRL 作:相田裕 ---------------------------------------- ■第54話 告白 ♂マリオ(マリオ・ボッシ): ♂ヒルシャー(ヴィクトル・ヒルシャー=ヴィクトル・ハルトマン): ♀トリエラ: ♀ラシェル(ラシェル・ベロー) ♀ロベルタ(ロベルタ・グエルフィ): ♀ミミ(マリア・マキャヴェリ): ---------------------------------------- ***【回想】 ***ナポリ、路地裏。 ***かつて捕まえかけたマリオ・ボッシをトリエラが見逃した時。 マリオ「お前も…、ヒルシャーと仲良くな…。」 トリエラ「(苦笑AD)。あのねえ…。      私は特別ヒルシャーが嫌いってわけじゃないんだからね!      私が嫌いなのは…。」 ***トリエラ、ニカっと笑って。 トリエラ「あなた達のような身勝手な大人全般なのさ。」 ***【回想終了】 ---------------------------------------- ***マリオ・ボッシの家、リビング。 ***トリエラ、不調そう。ミミ、トリエラに飲み物を差し出す。 ミミ「はい。」 トリエラ「ありがとう。」 ミミ「トリエラー。まだ気分悪い?」 ***トリエラ、缶ジュースを額に当て。 トリエラ「もう平気。」 トリエラM「昔アンジェリカもミラノで依存症の発作があったって聞いたな…。       きっと「薬」の摂り過ぎで副作用が出るんだ…。       今までずっと戦ってきたもんなあ…。」 ***ミミ、突然トリエラの耳元で。 ミミ「ねえ!」 トリエラ「わあ!!」 ミミ「事情はわかんないけどさー。    トリエラとまた会えてうれしいよ。」 トリエラ「(微笑みAD)。      うん…。そうだね。」 ---------------------------------------- ***廊下。話すロベルタとマリオ。 マリオ「トリエラはナポリマフィア(カモッラ)ともめたのか…。     追っ手なら心配ない。ここは安全だ。     が…、なあ検事さんあいつは一人だったのか?」 ロベルタ「はい…。」 ***ロベルタ、マリオを見つめる。 マリオ「なんだ?」 ロベルタ「「ベスビオのマリオ」といえば90年代に名を馳せたカモッラの男…。      印象がだいぶ違いますね。」 マリオ「…改心したのさ。」 ロベルタ「あの…、トリエラさんとはどこでお知り合いに?」 ***マリオ、急に険しい顔に。 ロベルタ「(驚くAD)」 マリオ「ミミと待っててくれ。俺はトリエラと話がある。」 ***マリオ部屋へIN。 ---------------------------------------- ***少し時間経過。部屋にはトリエラとマリオのみ。 トリエラ「今年もナポリに来てたんだ…。」 マリオ「ああ…。」 トリエラ「もう会う事はないかと…。」 マリオ「ヒルシャーはどうした?     お前が一人で出歩くわけない。     あいつと何かあったのか?」 ***少し間。 トリエラ「マリオ・ボッシ。      あなたに聞いてみたいことがありました…。      ヒルシャーさんの過去について。」 マリオ「!………。     本人に聞け。」 トリエラ「彼は教えてくれません。      私にも関わりがあるからでしょう?」 ***マリオ、トリエラの昔の笑顔を回想する。 マリオ「スマン…。俺にはやっぱり…」 トリエラ「私は、じきに死にます。」 マリオ「………。」 トリエラ「今月、同期の仲間が寿命で死にました。      私もきっと…。」 ---------------------------------------- ┃【回想】6年前。 ┃***オランダ、アムステルダム。夜。川沿いの倉庫街。 ┃***ヒルシャー、マリオに銃を突きつける。 ┃***後ろにヒルシャーの同僚の監察医ラシェル。 ┃ ┃マリオ「あんた、ずいぶん若いな…。 ┃    地元の刑事か?」 ┃ ┃ヒルシャー「欧州刑事警察機構(ユーロポール)だ!! ┃      カモッラ幹部マリオ・ボッシだな!?」 ┃ ┃マリオ「ユーロポール?そりゃあ丁度いいな…。 ┃    話がある。」 ┃ ┃ ┃---------------------------------------- ┃***ヒルシャーの車。ヒルシャー、マリオに銃を向けたまま。 ┃ ┃マリオ「俺達の最近始めたビジネスは、北アフリカやバルカンから子供をアムステルダムに「輸出」する事だ。 ┃    その用途は…」 ┃ ┃ラシェル「殺害動画(スナッフ・ムービー)を撮るのね…?」 ┃ ┃マリオ「そうだ…、運河の倉庫街を使ってな。 ┃    この事を地元警察にタレ込んだが無視された。 ┃    お前らなら何とかできるか?」 ┃     ┃ラシェル「どうして組織を裏切るの?」 ┃ ┃マリオ「娘が年頃に育ち、悪事から抜ける気持ちになった。 ┃    売られた子供を助けてくれ。」 ┃ ┃ ┃---------------------------------------- ┃***運河の倉庫街。 ┃***扉の前で銃の確認をする二人。 ┃ ┃ラシェル「ヴィクトル…。 ┃     あのマリオって男の話は本当かしら…。」 ┃ ┃ヒルシャー「僕には不思議と悪党には見えなかった。 ┃      今は信じるしかない。 ┃      ラシェル、あなたはここに残った方が…」 ┃ ┃ラシェル「大丈夫よ。 ┃     もう子供の遺体を見るのはたくさん…。」 ┃ ┃***侵入する二人。小声で会話。 ┃ ┃ラシェル「私ね…、引っ込み思案でこれまで何もできなかったの…。 ┃     でもヴィクトルの情熱を見て、何かしなきゃと思った。 ┃     後悔はないわ…。」 ┃ ┃ヒルシャー「ラシェル…。!!」 ┃ ┃***瞬間、マフィアが現れ銃撃戦になる。 ┃***制圧に成功。が、ラシェルは腹に弾丸を受ける。 ┃【回想終了】 ---------------------------------------- ***マリオの家。マリオとトリエラの会話続く。 マリオ「俺は奴らに現地警察を動かしてくれることを期待したが…。     上司に無断で行動していた二人は単独で倉庫に行き、マフィアと撃ち合いになった。」 トリエラ「………。      その銃撃戦で彼女は…」 マリオ「いや…。     腹に一発食らったが、二人は奥へ進んだ。」     (深呼吸AD)     そして…スナッフ・ムービーの現場へたどり着いた。」 ---------------------------------------- ┃【回想】先ほどの続き。 ┃***スポットライトや照明がまばゆい奥の部屋で、片脚を切断され虫の息の少女を見つける。 ┃***ラシェル、必至で少女の心臓マッサージをしながら。 ┃ ┃ラシェル「そうでしょ!?ヴィクトル!!」 ┃ ┃ヒルシャー「何だって!?」 ┃ ┃ラシェル「世の中捨てたもんじゃないわ!! ┃     ヴィクトルも…そう思うでしょ!?」 ┃ ┃ヒルシャー「ああっ!!思うよ!! ┃      ラシェルのような素敵な医者がいるんだからな!」 ┃ ┃***ラシェル、意識を失い少女の上に倒れこむ。 ┃ ┃ヒルシャー「ラシェル!!」 ┃ ┃マリオM「スナッフ・ムービーは被害者をいたぶりながら…、時には手当しながら殺す。 ┃     少女は重傷だが一命をとりとめた。」 ┃ ┃***ラシェル、絶命の間際ヒルシャーに訴える。 ┃ ┃ラシェル「お願い…。あの子を守って…。 ┃     私はあの子に希望を託したわ…。」 ┃ ┃【回想終了】 ---------------------------------------- ***マリオの家。マリオとトリエラの会話。 マリオ「その少女がお前だ。」 La Fine.