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MONSTER CHAPTER.18 ローヤーの法則
原作
浦沢直樹
上演時間目安
20分
総セリフ数
171
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001

ヘッケル

おい、ドクター!!ちょっと待てよ、ドクター!!
俺の話を聞けって!!よォ、ドクター!!

002

N

ドイツ、フェルデンの路上で、黙って歩くテンマに、チンピラ風の小男オットー・ヘッケルが絡んでいる。

003

ヘッケル

このオットー・ヘッケル様がいい話、持ってきてやったんだぜ!ありがたく思えよ。
俺と組むって約束したろ?ちょいとやばい手術するだけで15,000マルクだぜ!15,000マルク!

004

テンマ

誰がお前と組むと言った!?

005

N

棘のある口調で言ったテンマは、馴れ馴れしく肩を組んできたヘッケルを振り払う。

006

ヘッケル

お・・・おい!ったく、しょうがねえなァ、あんただって警察から逃げまわるには金が必要だろ?

007

N

その時である。縦じまのスーツを着た男が突然、テンマに密着してきた。
その男。周囲からは見えないように、銃口を突きつけている。

008

セクレタリー

車に乗れ!

009

テンマ

・・・・・・・・・。

010

ヘッケル

ヘヘヘ。やり合おうたってムダだよ。肩組んだ時、あんたのふところから銃は抜き取ったからね!
で、こちらがお客さんだ。あんたを患者のところまで連れて行く。
前金で、半額はいただいてある。あんたが無事患者を治したら、残りの金がいただけるというシステムだ・・・・・・。
ささっ、ごたごた言わずに乗った乗った。

・・・この物騒なものと荷物は、俺が預かっとく。
返してほしかったら仕事して、金受け取って、グラシュテン通りのフランクの店に来な!

011

N

テンマから盗った銃をチラつかせながら、ヘッケルは男の車にテンマを押し込んだ。
車は男の運転で、どこへともなく走り去っていった。

012

ヘッケル

じゃあな!しっかり稼いでらっしゃ――い!
・・・けけけっ、こりゃあやっぱりボロいビジネスだ。さあてと、前金受けとったことだし、奴が仕事してる間に・・・・・・・・・
一杯やっか!

013

N

半ば誘拐のように連れ去られたテンマは、緑豊かなフェルデン郊外の一軒家に来ていた。

014

セクレタリー

"法律家(ローヤー)"!もう大丈夫ですよ。医者連れてきました。

015

N

建物に入ると男が一人ソファーに横たわっていた。
創傷がどこかわからなくなるほど、出血がシャツ全体に広がっている。
ローヤーと呼ばれた男は、テンマらが到着したのに気づくと、少し顔だけを起こした。

016

ローヤー

ハァ ハァ ハァ・・・助かったよ、ドクター・・・・・・。早く・・・血を止めてくれ・・・・・・。

017

テンマ

腋窩(えきか)動脈が損傷しているな・・・腕がちぎれそうだ。散弾でやられたのか?

018

ローヤー

ああ・・・・・・。とにかく血を止めてくれ・・・・・・・・・
ん?おい・・・、この先生手ブラじゃないか。"秘書(セクレタリー)、手術の道具は揃えたのか?"

019

テンマM

(ローヤーは"法律家"、セクレタリーは"秘書"という意味だな。コードネームか?)

020

セクレタリー

い・・・いや、街ん中ヤバくて・・・そこまでは・・・・・・

021

テンマ

・・・もし道具があっても、ここで手術なんかできないよ。

022

ローヤー

う・・・・・・?

023

テンマ

早くちゃんとした医者に見せるんだな。

024

セクレタリー

それができたら、とっくにやってる!早く治せ!!この銃が見えねえのか!?

025

テンマ

・・・・・・・・・。
どのくらい前に撃たれた?

026

セクレタリー

よけいなことを聞くなと言ったはずだ!!早く治せ!!

027

N

セクレタリーは、テンマ銃を突きつけ、半ば狂乱気味にまくし立ててくる。
動じないテンマの視界に、MP5K―――自動小銃が飛び込んできた。
テンマの頭に、ふと思い浮かぶものがあった。

028

テンマM

(コードネームで呼び合う二人、そしてこの自動小銃・・・・・・)

029

テンマ

4時間前か・・・・・・?
おまえ達、今朝のテロ事件の犯人か!!

030

ローヤー

・・・・・・だったらどうなんだ?

031

セクレタリー

そ・・・・・・そうだ!!だったらどうなんだ!!

032

テンマ

断わる!

033

ローヤー

な・・・・・・!

034

セクレタリー

なんだとォ!!

035

テンマ

無差別にテロをやるような人間を治す気はない!!

036

セクレタリー

あ・・・・・・・・・!?
ふ・・・ふざけるな!!自分が今、どういう状況にいるのかわかってるのか?
治せ!!治さなきゃ殺すぞ!!

037

テンマ

・・・・・・・・・。

038

ローヤー

まあ、待て待て・・・・・・セクレタリー。

なあ、先生・・・、もうすぐ俺たちの仲間が助けにやってくる。
それまでに、血だけは止めてくれ。

039

N

ローヤーが譲歩した案を出す。しかしテンマは、何も答えずに近くにあったソファーのひとつに腰を掛けた。

040

セクレタリー

な、なんだ、その態度はァ!!死にたいのか―――!!

041

ローヤー

待てと言ってるだろう・・・・・

042

セクレタリー

で・・・でも・・・ローヤー。

043

ローヤー

とりあえず今、この先生は俺の命をにぎってる・・・・・・

044

テンマ

・・・・・・・・・。

045

ローヤー

俺がもし死んだら、そのときは撃ち殺せ・・・。

046

N

ローヤーは、かすれた声で言った。

---

047

N

一方、臨時収入のあったヘッケルは、両脇に女性をはべらせて酒を飲んでいた。

048

ヘッケル

あっそう、今晩暇なのォ〜・・・。食事でもどう?

049

ギャル

やだっ!なんかたくらんでる目ェしてる!!

050

ヘッケル

たくらんでるよォ!
君らにどんなドレスが似合うかなァとか・・・・・・、そのドレス脱いだら、どんなかなァとか・・・・・・

051

ギャル

何、わけのわかんないこと言ってんのよォ!もう――!!

052

ヘッケル

うっへっへっへっ、バーテンダー!とりあえずこの二人にもう一杯!!
バーテンさんも飲んでくれ、俺のおごりだ!!

053

グロス

よォ、ヘッケル!ずいぶんと景気がいいな。

054

ヘッケル

ああぁん、景気がいいも何も・・・・・・・・・・・・ああっ!!

055

N

終始ニコニコしていたヘッケルの顔が、一瞬で真っ青になった。
声をかけてきたのは誰であろう、最も会いたくない相手、取立て屋のグロスだったのだ。
手下の大男も連れている。
無言でソロソロと離れていく女性二人に代わって、体格の良い男二人がヘッケルの両脇についた。

056

ヘッケル

ど・・・どうも、グロスさん・・・・・・あはははは・・・・・・

057

グロス

こんなとこで会えるとはなァ・・・・・・神様も、イキなはからいをしてくださるよ。

058

ヘッケル

え・・・ええ・・・、は・・・ははは・・・・・・。

059

グロス

じゃあ、返してもらおうか。

060

ヘッケル

へ?

061

グロス

悪いなァ、こっちも慈善事業でやってるわけじゃないんでね。借金25万マルクと利子の5万マルク・・・、あわせて30万だ!

062

ヘッケル

い・・・・・・いやァ、返したい気持ちはいっぱいなんスけどね・・・・・・

063

グロス

フフフ・・・うれしいねえ、その気持ちだけでもうれしいよ。

064

ヘッケル

へ、ヘヘヘ・・・・・・・・・

065

グロス

とりあえず、両腕へし折っとけ。

066

ヘッケル

あがが――――!!

067

N

グロスの手下の大男が両手を後ろでねじりあげる。

068

ヘッケル

わ、わ、わ、わかった!!返す!!返します―――!!

069

グロス

いい子だ、すごくいい子だ。

070

ヘッケル

だから・・・、あと一か月待って・・・・・・

071

グロス

両足も折っとけ!

072

ヘッケル

あぎゃ―――!!

073

N

ドタバタしている二人を尻目に、グロスはカウンターに腰掛けてテレビのニュースを眺めている。

074

グロス

ああ、このニュース。まったくひどいことしやがる。

075

キャスター

今朝、エルフルト駅構内で起きた自動小銃によるテロ事件は、死者12名、重傷者2名におよぶ大惨事となりました。
なお、テロの標的とされたGWE(ゲーヴェーエー)社のフリードリッヒ・ワンツ社長は、病院に運ばれる途中、死亡しました。

076

ヘッケル

あたたたたた!!

077

キャスター

目撃者の証言から、この事件の容疑者は・・・・・・

078

ヘッケル

ちょっと待って・・・・・・いてててて!!
・・・・・・!?

079

キャスター

画面に表示されています写真の、右マックス・シュタインドルフ、左カール・ブラントの二名とみられ、GWE(ゲーヴェーエー)社はこの両名に対する有力な情報には、30万マルクを支払うことを発表し・・・・・・

080

ヘッケル

ああ――!!こ・・・こいつらだったのか!!

081

グロス

あん?

082

ヘッケル

か・・・金、返せるよ!!俺、こいつらの居場所知ってるんだ!!

083

グロス

なんだとォ?

084

ヘッケル

居場所、教えてやるよ。それで借金はチャラだ!!

085

グロス

本当だろうな、嘘だったら首の骨、へし折るぞ。

086

ヘッケル

本当本当!!絶対ホント!!

087

ヘッケルM

(あ・・・・・・、でも今、あそこにはテンマが行ってるんだっけ・・・・・・?
 ま・・・・・・まァ、いいか・・・・・・)

088

N

郊外一軒家に戻る。テンマはローヤーの治療を拒み続け、両者のにらみ合いが続いていた。

089

ローヤー

あんた・・・・・・ハァ・・・ハァ・・・さっき、俺のやったことを無差別テロとか言ったな・・・・・・

090

テンマ

・・・・・・・・・。

091

ローヤー

俺が・・・・・・無差別・・・・・・・・・?冗談じゃない!
俺がやったことには、ちゃんと意味があるんだ・・・・・・

092

セクレイター

ロ・・・ローヤー、あんまりしゃべらない方がいい。
は、早く治せよォ、このヤブ医者ァ!!

093

ローヤー

いいんだセクレタリー。・・・ハァ・・・お・・・・・・俺は今、死んでもいい気分なんだ。

094

セクレタリー

ええ!?

095

ローヤー

俺は・・・・・・あのGWE(ゲーヴェーエー)社のフリードリッヒ・ワンツ会長を殺すことができて・・・・・・
い・・・いつ死んでもいいくらい・・・すっきりしているんだ・・・・・・

096

セクレタリー

ロ、ローヤー・・・・・・

097

ローヤー

ドクター・・・俺は東側で弁護士をやってた。こいつは政治家の秘書だった・・・・・・。
壁が崩壊して、みんな職無しだ。俺達は真の愛国者だったのに。
先生、あんた、俺達の気持ちになって考えてみたことあるか・・・・・・?え?もぐりのお医者さんよ・・・・・・。

098

テンマ

・・・・・・・・・。

099

ローヤー

何が東西統一だ。何が資本主義だ!俺達の生活はどうなる。俺達はこの先、どうやって生きていけばいい!?
あのGWE(ゲーヴェーエー)社は、壁が崩壊した直後、金にものを言わせて東にのりこんできた。
俺達の土地に・・・強引に工場を作った・・・いくつもいくつも・・・・・・俺達のプライドを踏みにじり・・・・・・

あそこは、俺達の国だ・・・・・・!

裏の世界で、コソコソともぐり医者をやっている人間に、四の五の言われるおぼえはない・・・・・・。俺は誇りを持って奴を撃った。
俺は・・・・・・誇りを・・・もって・・・・・・もって・・・・・・

100

セクレタリー

ロ・・・ローヤー・・・

101

ローヤー

・・・・・・寒い・・・・・・

102

セクレタリー

え?

103

ローヤー

さむい・・・・・・

104

セクレタリー

が・・・・・・頑張れ!もうすぐ仲間が助けに来る!!頑張れよ、なっ!!

105

ローヤー

来ないよ。

106

セクレタリー

え?

107

ローヤー

仲間は来ない・・・・・・そんな気が・・・・・・する。

108

テンマ

・・・・・・・・・。

109

セクレタリー

あ・・・・・・・あ・・・・・・
血ィ止めろ!!今止めろ!!でなけりゃ、撃ち殺す!!

110

N

ローヤーのそばにいたセクレタリーが、再びテンマに拳銃を突きつけて怒鳴り散らす。
しかしテンマは相変わらず、要求に応じるどころか反応ひとつしない。

111

セクメタリー

早くしろォ!!こ・・・・・・殺す!!

112

ローヤー

(小声で)死にたくない・・・・・・

113

セクメタリー

え・・・?

114

ローヤー

死にたくない・・・・・・
死にたく・・・・・・ない・・・・・・

115

N

一瞬ローヤーのほうを見たテンマが、突きつけられた銃を振り払って、突然立ち上がった。
下を向いたままで口を開く。

116

テンマ

怖いか・・・・・・

死ぬのが怖いか!?

117

ローヤー

ハァ ハァ・・・・・・

118

N

そして、ローヤーの隣まで近づくと、その目を真っ直ぐに見下ろしながら続ける。

119

テンマ

みんなそうやって死んでいった!!お前に殺された12人の人達は、みんなそうやって・・・・・・!!

120

ローヤー

ハァ ハァ ハァ・・・・・・

121

テンマ

人を殺すのが、どんなにひどいことかわかったか!?

122

ローヤー

ハァ・・・・・・・・・ハァ・・・・・・・・・は・・・うぅ・・・・・・・(気絶する)

123

テンマM

(気を失ったか・・・・・・。)

124

テンマ

消毒液とハサミ!!

125

セクレタリー

へ?・・・・・・

126

テンマ

それぐらいあるだろう!!

127

セクレタリー

あ・・・ああ、やっと治す気になったか。
そ・・・そりゃそうだ。ローヤーが死んだら、撃ち殺されるんだもんな!!

128

テンマ

いいからさっさと用意しろ!!

129

セクレタリー

あ・・・ああ。・・・・・・他には?

130

テンマ

これは動脈性出血だ。低血圧性ショックを起こしている・・・・・・。損傷動脈を指で圧迫して止血する。
開放部の皮膚を縫合するのに針と糸・・・・・・いや、ホッチキスでもいい!!

131

セクレタリー

ホ・・・ホッチキス!?

132

テンマ

早く用意しろ!!

133

セクレタリー

は・・・・・・はい!!

134

N

止血と応急処置を終えたテンマは、ローヤーの創部皮膚を寄せてホッチキスで止めていく。
ローヤーは気絶しているため、ホッチキスのバチン、バチンという音だけがあたりに響いた。

135

セクレタリー

ひィ・・・・・・!

136

テンマ

・・・ふう・・・。よし!

137

N

包帯を巻き終えたテンマは、ローヤーを両肩に背負った。

138

テンマ

よいしょ!

139

セクレタリー

え?
ど・・・・・・どうするつもりだ。

140

テンマ

応急処置はした。病院へ運ぶ!

141

セクレタリー

びょ・・・病院だとォ!!な・・・何考えてんだ。降ろさないと撃ちころ・・・!!

142

テンマ

撃ちたければ撃て!
だが、もし私を撃つなら、おまえがこの男を病院へ運べ!

143

N

セクレタリーは何も言えず、家の裏手から山道へ入っていくテンマを、見送るしかなかった。
その時、パッと表の道路の景色が見えた。銀色の車体に緑のライン。ドイツのパトカーの色だ。サイレンは鳴らしていない。

144

セクレタリー

け・・・警察だ!!

145

N

テンマは山道をしばらく行っていたが、そこでローヤーが意識を取り戻した。

146

ローヤー

ドクター・・・・・・

147

テンマ

!!

148

ローヤー

ここで・・・・・・降ろせ・・・・・・。あんたは逃げろ。
さっき思い出したよ・・・・・・。あんた、どこかで見た顔だと思ったが・・・・・・連続殺人の容疑で手配されてる医者だろ・・・・・・。

149

テンマ

・・・・・・・・・。

150

ローヤー

早く・・・降ろせ・・・・・・。

151

N

テンマは、そばにあった木にローヤーを寄りかからせた。

152

ローヤー

いいか・・・・・・。俺がやったのは、無差別テロなんかじゃない・・・。
俺が殺したのは、GWE(ゲーヴェーエー)社の会長とその腰ギンチャクとボディーガード共だ。

153

テンマ

じゃあ、巻きぞえになった人間はいないというのか?

154

ローヤー

!!
あの・・・売店にいた子か・・・・・・

155

テンマ

やっぱり・・・知っていたんだな。あの子を撃ってしまったことを・・・・・・

156

ローヤー

・・・・・・・・・。・・・どうしてこんな男を助けた・・・・・・
俺が死んだら、自分が撃ち殺されると恐れたからじゃないだろ?
治療を拒否した時のあんたの目は、殺されるのを恐れた目じゃなかった・・・・・・

157

テンマ

・・・・・・・・・。

158

ローヤー

なぜ・・・こんな・・・無差別テロの人殺しを助けた・・・・・・ゲホッ!ゲホッ!

159

テンマ

・・・信じたからだ。お前は人間だって・・・・・・

160

ローヤー

・・・・・・ヘヘッ・・・。
早く行け!警察が来る!

161

テンマ

生きるんだぞ・・・・・・

162

N

そう言い残すと、テンマは森の奥深くに消えていった。

163

ローヤー

あんた・・・・・・。あんた、名医だよ・・・・・・

164

N

しばらくして、ローヤーの元に警察がやってくることになる。

---

165

N

その夜―――

テンマは、ヘッケルと決めていた集合場所に行っていた。
目標がテンマではなかったので、警察にしつこく追われることもなく森を抜け出ることができたのだ。
ヘッケルといえば、ローヤーらの居場所を密告したことで30万マルクを手にし、借金取りから開放されていた。

166

ヘッケル

それで、金はどうしたんだよォ!?まさか治すだけ治して、帰ってきたんじゃねえだろうな!

167

N

二人がやり取りをしつつ街を歩いていると、ショウウィンドウからニュースが聞こえた。

168

キャスター

エルフルト駅構内で起きたテロ事件の犯人が逮捕されました。
犯人二人は、意外にも抵抗することなく、すみやかに投降した模様で、警察では・・・・・・

169

テンマ

ふう・・・・・・・・・。

170

ヘッケル

くっそ―――!!慈善事業やってんじゃねえんだぞ!コラ―――――!!

171

N

ヘッケルのあてなき叫びは、フェルデンの街の灯りに吸い込まれていった。

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